about BRUNO MUNARI - BOOKS

 
絵本
「暗い夜に」
日本ではムナーリというと絵本好きの方に知られているようですね。あとはデザイン関係の人(わたしもそうですが)。 ムナーリは色々な絵本を作っていますが、そのなかの一冊が「暗い夜に」(nella notte buia,1956)です。絵だけでお話が進んでいくので自分でお話を考えながら楽しめます。現在もイタリアの出版社から復刻版が出ているので購入可。 https://www.corraini.com/ 日本でも河出書房新社から発行されているものがありました。(003)
ムナーリのフォーク(本)
大好きな一冊です。ふううのフォークを「手」に見たてて、色々ハンドサインをさせた一種の絵本。わたしたちの身の回りにあるあたりまえの物から「驚き」や 「遊び」がデザインできるという好例。輸入デザイン書籍のお店などで取り扱っていますが、版元はイタリアのコッライーニ https://www.corraini.com/(004)
「霧の中のサーカス」
原題は「ミラノの霧の中で」。ミラノは冬になると町の中でも霧が深く立ちこめるのです。須賀敦子さんの本にも「ミラノ・霧の風景」というのがありました。 絵本では霧の中からだんだんに姿を現す街の様子が描かれています。日本語版が発行されていましたが現在は絶版。復刻を望む声も多いそうです(イタリア語版 はまだ入手可能)。(009)追記:その後、フレーベル館より「きりのなかのサーカス」として谷川俊太郎訳が刊行されました。
「プラス・マイナス」
ムナーリの作った絵本には、製本されていない、読む人が自由に順番を入れ替えて楽しめるものがいくつかありますが、この「プラス・マイナス」もそのひとつ です。透明(または半透明)のフィルムシートにいろいろなものが印刷されていて、何枚ものシートを重ね合わせることでいろいろなシーンを自分で作りながら お話を作れる?(テキストはありません)絵本です。1970年にダネーゼ社から発売され、現在は絶版のようです(2005年日本のでデッドストック品が発 売されたそうですが、あっという間に売れてしまったとか)。(128)追記:その後コッライーニ社から復刻版が発売されました。
ムナーリの10冊の仕掛け絵本
1945年にムナーリが息子のために、と考えて作った仕掛け絵本は10種類、そのうちの7冊までが当時モンダドーリ社から発行されました。発行されなかっ た3冊のうち2冊を含めて現在コッライーニ社が9冊の絵本を復刻していますが、最後の一冊については分かりません。あと一冊はどうなったのでしょうか? (124)
「いっつも不満」(ムナーリの仕掛け絵本)
原題を直訳すると「満足することがない」なんですが。いろいろな動物たちが、いまの自分と違う自分になりたくて頭の中でぶつぶつ言っている、ちょっと不機嫌でかわいい絵本です。コッライーニ社から(イタリア語)。(012)
「トン、トン」(ムナーリの仕掛け絵本)
「Toc Toc(トン、トン)」という「扉をたたく音」がタイトルのこの絵本、のぞき穴から見える生き物と次のページで対面できる仕掛け絵本です。1945年にモ ンダドーリ社から発行、現在はコッライーニ社から復刻しています。(079)
「たんじょうびのおくりもの」(ムナーリの仕掛け絵本)
モンダドーリ社から1945年にムナーリが出した仕掛け絵本のひとつです。子供の誕生日のプレゼントを抱えて家に向かうトラックの運転手がさまざまなアク シデントをのりこえて家にたどりつくまでのお話。現在コッライーニ社が復刻したものが日本でも手に入ります(テキストは英語版とイタリア語版)。 (122)
「ジジは帽子を探しています」(ムナーリの仕掛け絵本)
以前ご紹介した、ムナーリがモンダドーリ社から出した仕掛け絵本シリーズ(10作のうち7冊まで出版され、後にコッライーニ社から復刻)のうちの一冊で す。あわてんぼうの男の子が無くした帽子を探すと...ということで、絵本のページをめくりながら捜し物をする仕掛けになっています。英語版とイタリア語 版の復刻版が現在入手できるそうです。(139)
「動物を売る男」(ムナーリの仕掛け絵本)
ムナーリがモンダドーリ社から出した(出そうとした)10種類の仕掛け絵本のうちのひとつです。いろいろな動物を売る男、さてどんな動物を商っているの か?ページの中にまたページがあって、めくっていくと意外な?オチがつくという仕掛けになっています。現在コッライーニ社からイタリア語、英語版などの復 刻が出ていて日本でも手に入れることが出来ます。(147)
「三羽の小鳥の話」(ムナーリの仕掛け絵本)
モンダドーリ社から発行して長らく絶版になったムナーリの仕掛け絵本のうちの一冊です。現在はコッライーニ社の復刻版が手に入ります。 よくよく考えてみると、ムナーリの幅広い仕事の中で絵本作品は特に多いわけではないのですが、一連の仕掛け絵本と「読めない本」などの独創的な作品を作っ たことが絵本デザインの世界?でのムナーリの名声?につながっているのでしょうか。(150)
「緑の手品師」(ムナーリの仕掛け絵本)
ムナーリの仕掛け絵本シリーズのうちの一冊です。ページの中にまたページがあって、めくるとそこには...という具合。モンダドーリ社から発行された後絶版になり、今はコッライーニ社の復刻版が手に入ります。(156)
「黄色い手品師」(ムナーリの仕掛け絵本)
モンダドーリ社によるムナーリの仕掛け絵本のうち、当時企画されながら出版に至らなかった一冊だそうです。以前ご紹介した同じシリーズの一冊に「緑の手品 師」という本がありましたが、これは「黄色い手品師」というタイトルです。やはりページの中に小さなページがたくさん仕掛けられてお話が進むようになって います。現在はコッライーニ社より出版されています。(160)
「みんなおやすみ」(ムナーリの仕掛け絵本)
一連のモンダドーリ社仕掛け絵本シリーズの一冊ですが1945年当時には出版に至らないまま幻となっていた絵本です。ページの中にページがあるのはムナー リの十八番ですが、この本では部屋のあちこちに眠っている「なにか」が見つかります。現在はコッライーニ社で復刻(イタリア語版・英語版)しています。 (167)
絵本/フトン?
ムナーリの絵本作りの発想は、いわゆる二次元の本を作る感覚とは全く異なるところから始まっていると思います。ムナーリの本(絵本)を数多く復刻・出版し ているコッライーニ社のマルツィアさんも「ムナーリは印刷物としての本をデザインしていると言うより、伝えるべき内容に合わせた素材を選んで絵本を作っ た」ということを言っていましたが、ご紹介している「本/フトン」(libro letto)もまさにアイディアが素材を選んだ好例だと思います。これは「絵本」(縁の部分にテキストが印刷されています)ですが、きれいな色地の布でく るまれたクッションのようなもので、広げたり畳んだり組み立てたり、本として「読む」以外にも「立体おもちゃ」として遊べるようになっています。 「libro letto」(イタリア語)は直訳すると「本/フトン」ですが、「読んだ本」という掛詞にもなっているようです。(123)
「見つめてみよう」
「Guardiamoci negli occhi(瞳の中の自分を見つめてみよう)」というタイトルの本?です。表紙を開くと、本がパッケージ状になっていて中のページはすべてバラバラにでき るようになっています。どのページにもいろいろな顔があって、いろいろな顔(表情)を自分流に遊べる「プラス・マイナス」にも似たアイディアの一冊です。 1970年に限定出版された後、現在はコッライーニ社の復刻版が入手可能です。(164)
「ツグミがくちばし失くしたとさ」
原題は「Il merlo ha perso il becco」。小柄な鳥で、イタリアでは町中でも見かけるメルロというのは日本でいうツグミのことだそうです。マザー・グースのわらべ歌のような調子でお 話が書かれていますが、かわいそうなツグミはくちばしどころか体のあっちこっちがなくなってしまいます。透明なフィルムを使った楽しい絵本です。コッラ イーニ社から(イタリア語)。(021)
「ムナーリの機械」
原題は「Le macchine di Munari」(ムナーリの機械たち)。日本では「ナンセンスの機械」というタイトルで出版されましたが現在は絶版のようです。「風が吹くと桶屋 が・・・?」ではありませんが、色々なものが組み合わさってある動きを実現する、という機械のような機械でないようなアイディアの絵本です。見方によって はNHKの「ピタゴラスイッチ」に似ているかも。イタリア語版は入手可能です(コッライーニ社)。(026)
追記:その後河出書房新社から訳書がでました。
「ナンセンスの機械」
「le macchine di munari」の日本語版がどんな本だったのかわかりました。タイトルは聞き及んでいたとおり「ナンセンスの機械」で、筑摩書房から1979年に発行され ていたようです。翻訳は窪田富男さんと言う方です。現在は残念ながら絶版状態ですが、時々古書市場にも現れるようです。(133)
「お話のお話」
「お話のお話」(La favola delle favole)という絵本です。この絵本、製本されていません。ページがバラバラになるので、自分でページを入れ替えることで違ったお話の絵本が作れると いう仕掛けです。ムナーリらしい、本の形式(約束事)を飛び越えたアイディアの一冊です。日本でも輸入洋書取り扱い書店などで見かけることがあります(テ キストはイタリア語・英語・フランス語)。(033)
「読めない本」
ムナーリのデザインした絵本のスタイルの中で何度か形を変えて現れるアイディアに「字のない絵本」がありますが、この「読めない本」は字だけでなく絵もあ りません。いろいろな色の紙がちょっとずつ違う切り欠きを加えられてとじられています。ムナーリの本作りのアイディアの中には「本という立体造形物そのも のをデザインする」という発想があるのですね。見る人、見るときによって違った読み方が出来る「読めない本」にはいくつかのバリエーションがあります。 (039)
「読めない本」を読むサイト
ムナーリの代表的な本の一つ「読めない本」を読むサイトがありました。読む、といっても見るということですが、一ページずつめくって本を楽しむことが出来るようになっています。シンプルなアイディアですが楽しいウェブページです。 https://www.laboratorio1.unirc.it/siracusa/lezioni/03-scritture/libro/1.htm(097)
「木をかこう」
これは絵本なのですが、ちょっと大きな子供向けかもしれません。木のなりたちを考えながら、自分たちで木をいろいろなやりかたで表現してみよう、というム ナーリから子供たちへのメッセージ、というか手ほどき(ヒント?)の本です。日本語版が至光社というところから出ています(イタリア語版はおなじみコッラ イーニ社)。
同じシリーズで「太陽をかこう」という本もあります。どちらも翻訳は「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」などで知られる須賀敦子さんです。須賀 さん自身60年代から70年代のミラノに暮らしていた方ですが、果たしてミラノでムナーリとの接点はあったのでしょうか・・・。(042)
「太陽をかこう」
「木をかこう」の姉妹本です。お日様というと○に放射線を描きがちですが、実物がそうなっているわけではないですね。そうそう、日本人はお日様の色を赤色 と考えがちですが、欧米人は黄色ととらえている、というのも有名な話。ちょっと脱線しましたが、この本も須賀敦子さんの翻訳です。(043)
「本に出会う前の本(i prelibri)」(1)
小さな(10センチ角)の本が12種類セットになっています。この本にも絵や文字はありません。いろいろな色、素材で作られた小さな本たちです。小さな子 供がお話の書いてある(あるいは絵の描いてある)本を読み始める前に、色や手触りを確かめながらあそぶ絵本、ということでしょう。1979年にダネーゼか ら発売され、現在はコッライーニ社から復刻されています。日本でも輸入されているので手にはいると思います。大人が読んでも(?)楽しい本たちです。 (051)
「本に出会う前の本(i prelibri)」(2)
すでにご紹介したことのある「本に出会う前の本(i prelibri)」ですが、実はじむきょくはこれを持っていません(結構良いお値段なのです)。親しいデザイナーがムナーリの本やプロダクトを沢山持っ ていて見せてもらっているので「まあいいか」ということで。先日ネットを見ていたところ、12冊の「本に出会う前の本」の体裁を個別に紹介しているページ があったのでご紹介します。 https://www.utrecht.jp/special/special21.php ユトレヒトというウェブブックショップのページです。(074)
「白ずきんちゃん」
現在、ブルーノ・ムナーリの作った絵本の殆どはイタリアのコッライーニ社が発行(復刻)しているようです。これもコッライーニの一冊。「白ずきんちゃん」 というタイトルなのですが、中のページはほとんど真っ白で、物語だけが書かれています。「暗い夜に」とは反対に、テキストから絵をイメージして楽しめる絵 本ですね。(005)
「緑ずきんちゃん」
以前「白ずきんちゃん(cappuccetto bianco)」という絵本をご紹介しました(現在もコッライーニ社で刊行)が、ムナーリはほかにも「緑ずきんちゃん(cappuccetto verde)」の絵本を書いていたようです。イタリアでも現在入手が難しいようで、内容はよくわかりませんが、やっぱり「赤ずきんちゃん」のお話がベースになっているのでしょう。(067)
「黄色ずきんちゃん」
ええと、実はムナーリの絵本で、「白ずきんちゃん」「緑ずきんちゃん」だけではなく、「黄色ずきんちゃん」の絵本もありました。これで「赤ずきんちゃん」もそろうとなんだかレンジャーみたいな・・・。(068)
ありました・・・
過日「白ずきんちゃん」の他に「緑ずきんちゃん」「黄色ずきんちゃん」などの絵本をムナーリが作っていることをご紹介しましたが、よくよく調べてみる と・・・。ありました。「赤、緑、黄色、青、白ずきんちゃん(Cappuccetto rosso verde giallo blu e bianco)」という絵本が。うーん・・・。それぞれのお話を合本にしたもののようですが、1972年に発行されています。(現在、国内書店でも輸入版 を見かけることがあります)(089)
「箱の建築」
箱をレンガかブロックのように(あるいはレゴのように?)使っていろいろな建築を作ってみよう、という「取扱説明書」のような豆本(絵本?)です。ユニッ トの箱にはAからGまでの基本形があって、紹介されている建物はすべてその組み合わせで出来るようになっています(必要なユニットの数はまちまち)。幼稚 園や小学校で段ボール箱を使ってお城を作って遊んだ記憶がよみがえります。コッライーニ社から(解説は英語とイタリア語)。(073)
「ムナーリの動物園」
いわゆる動物園の動物たちが絵本になっているのですが、そこはムナーリ一流の「ひとこと」が添えられていて、大人にも面白い絵本です。1963年にアメリ カの出版社から発行されたのがオリジナルのようですが、現在はイタリアのコッライーニ社から復刻版が出ています。(102)
「サラダの中のバラ」
日本にも昔から「いも版」というものがありますが、ムナーリが家でサラダを作る奥さんの作業を見て「このサラダ菜(チコリ?)、切り口がバラのようだね」と「発明した」スタンプ遊びの本です。
1974年にオリジナル版が出版され、現在はコッライーニ社から復刻されたものが日本でも手に入ります。テキストはイタリア語版と英語版。(107)
「クリスマスの魔法使い」
イタリアの童話作家ジャンニ・ロダーリの童話に、ムナーリが挿絵を描いた「クリスマスの魔法使い(il mago di natale)」という本があります。日本でも輸入書籍として扱っている本屋さん(青山ブックセンターなど)があるようです。テキストはイタリア語です が、ムナーリの抽象的な雰囲気の挿絵が楽しい一冊だと思います。(111)
「アルファベットしよう(ALFABETIERE)」
ムナーリは文字についてもいろいろなデザインの実験をしているとご紹介しましたが、そのひとつの成果?がこの本かもしれません。「アルファベットしよう (ALFABETIERE)」という本で、内容はアルファベットの文字をテーマにさまざまな書体やコラージュをまとめています。 「ALFABETIERE」というのは造語のようですが、おそらく動詞ではないか?と勝手にタイトルを訳してみました。コッライーニ社より2000年に出 版され、国内でも輸入書として販売されています(イタリア語)。(114)
「光の絵本」
ムナーリが1990年にドイツのランプメーカー・オスラムのために作った「光」をテーマにした絵本だそうです。非売品のようで残念ながら現物を見たことは ないのですが、光をキーワードにした詩とグラフィックで構成されているようです。(152)
ムナーリのSF(1)
めずらしい本を発見しました(といって入手したわけではないですが)。60年代にムナーリが挿絵を描いたという「月面の男たち」(原題:Uomini sulla luna)というソノラマシート付き絵本があったそうです。この本は企画も挿絵もムナーリがやったそうで、「ビル・ベンチューラ(なんだかイタリア系アメ リカ人のような名前)」というヒーローが活躍するみたいです。(040)
コッライーニ社のこと(1)
2005年春イタリアへ仕事で戻ったときに、ムナーリの絵本などを数多く出版しているコッライーニ社を訪ねました。コッライーニ社のことは昔から知ってい たわけではなく、昨年日本でムナーリについてコッライーニさんの講演があったので詳しく知ったのですが。コッライーニ社は北イタリアのマントヴァという町 にあります。小さな静かな町ですがとても歴史のある美しい町です。オペラ好きの方なら「リゴレット」の舞台と言えばご存じかもしれません。(062)
コッライーニ社のこと(2)
マウリツィオ・コッライーニ社(Maurizio Corraini Srl)1973年にマウリツィオ氏とマルツィア夫人によって設立されました。ブルーノ・ムナーリだけでなく、エンツォ・マリなどのデザイナーによる絵 本、また絵本作家による本の出版(絵本以外の本も出版しています)のほか、コンテンポラリーアートの企画展示販売、ムナーリが企画したワークショップの継 承など、イタリア国内だけでなく国外(アメリカ、日本など)でも活発におこない、また世界各地の絵本フェア(見本市)にも出展しているそうです。立体デザ インの分野にはあまり関わりがないせいか、これまでよく知らなかったのですが、日本でも絵本作家・デザイナーや絵本の好きな方はよくご存じのようですね。 毎年イタリア・ボローニャで開かれる国際絵本見本市に日本からコッライーニ社を訪ねて来る方も多いそうです。ミラノで知り合った絵本作家の木野鳥乎さんも コッライーニ社とは長年親しくされているそうで、そういえば日本の作家の本も出版していると聞きました。(063)
コッライーニ社のこと(3)
コッライーニ社はマントヴァの町の中心から5分くらいの(まあ、15分~20分で町の中心からはじっこまで行かれるほどの大きさの町なんですが)古い建物 の中にあります。歴史的な建物らしく、中にはいると高い天井と壁にはフレスコ画が。イタリアでは数百年の歴史を持った建物を一定の基準で維持修復しながら 日常の生活や仕事に使っているわけですが、陣内秀信先生の著書にもあるように、古い建物と現代の暮らしの組み合わせ方が上手です。世界中に出版物を送り出 しているといっても、小さな町の小さなギャラリー兼出版社、ということでスタッフも地元の人たち、いたってアットホームで、しかしクオリティのある本作り をして世界中を相手に取引をしているというのは素敵な仕事の仕方だと思いました。コッライーニ社では日本で会ったマルツィアさんと小一時間ほどお話をし、 ムナーリの本だけでなくギャラリーにあったガラスの作品などを購入して来ました。コッライーニ社では今後もムナーリ関係の本の復刻や新刊が予定されている ようです。(064)
コッライー二社のこと(4)
コッライーニ社の絵本などを購入するにはいくつかの方法がありますが、一番簡単なのは日本でコッライーニ社の絵本を販売している本屋さんの店頭で買う、た だしこれにはそれなりの手数料が価格に上乗せされていると思います。近くの本屋さんでは見つけられない場合、クワノトレーディングという会社のサイトで注 文する方法があります。 https://www.kuwano-trading.com/ さらに、自分で直接注文することも可能です。 http: //www.corraini.com/ サイトには英語のページもあります。支払いはクレジットカード(VISA,Master)が使えるそうですが、 直接注文の場合は輸入手数料がかからない代わりに郵送費用がかかります。あらかじめ送料の見積もりをしてくれるそうなので確かめてみるとよいでしょう。 (065)

著書
「GOOD DESIGN」
自然はすばらしいデザイナーである、という視点で、オレンジとエンドウマメについて、大まじめに(まるで工業製品の説明書のように)解説したマメ本です。 「大まじめに」というところがムナーリのユーモアです。しかしムナーリの言う通り、自然の産物は私たちデザイナーがそれらしい能書きを付けてデザインする モノよりはるかに優れたデザインを無言で提供してくれていることを思い出すべきなのでしょう。
本文はイタリア語と英語の併記で、日本国内でも輸入書籍として販売されています。(008)
「Cicci Cocco」(写真集)
これはムナーリの本と言うより、エンツォ・アルノーネという写真家が撮った写真集です。ただし写真にそれぞれムナーリが詩のような、わらべうたのような、 フレーズを添えています。テキストはイタリア語の他英語とフランス語も併記。子供の写真がすてきな一冊です。コッライーニ社から。(015)
「Direzione Sorpresa」(写真集)
本のタイトルは「びっくりへの方角」とでも言うのでしょうか。(原題はDIREZIONE SORPRESA) マリオ・デ・ビアシという写真家が世界中で撮影した「矢印」と「方向指示の看板」を集めた写真集です。ところどころにムナーリの書いた詩のようなフレーズ があります。こうしてみると、ムナーリは文字通り「詩人:詩を書く人」でもあったんですね。本のテキストはイタリア語です。(017)
「木の物語」(写真集)
ムナーリは色々な形で「木」について語っています。前に紹介したマリオ・デ・ビアシという写真家とのコラボレーションで「木の物語」(il romanzo del legno:イタリア語版)という写真集も出しています。ムナーリは自然界の様々な現象に興味を持っていたと思いますが、とりわけ樹木から多くの啓発を受けていた、と考えられはしないでしょうか?(029)
「円/正方形」
1971年に美術出版社から発行された二冊セットの正方形の本です。一冊ずつ「円」と「正方形」に関する古今のさまざまなことがらが集められ、解説されて います。アイディアの宝庫というか、一種の(本当の意味での?)「トリビア:雑知識の泉」という感じの二冊です。 もともとイタリアで3000部限定の本として発行され、後に英語版も出たそうですが、日本語版は絶版、英語版はコッライーニ社による復刻版がたまに手に入 ります。(019)
「三角形の発見」
以前ご紹介したムナーリの編んだ本の中に「円/正方形」という、円と正方形に関する様々な図像を集めた本がありましたが、その他にもムナーリは「三角形」 をテーマにした本を1976年にザニケッリ社から出しています。ちなみに「円/正方形」はかつて日本で邦訳が出版され(絶版)、現在は英語版の復刻がコッライーニ社から出ていますが、この三角形の本は残念ながら手に入らないようです。(192)追記:その後「円」「正方形」「三角形」ともに平凡社から訳書が刊行されました。
「芸術としてのデザイン」
原題は「Arte come mestiere」(職業としてのアート)。ムナーリがイタリアの新聞に連載したデザインとアートに関するテキストをまとめたものだそうです。邦訳があ り、表題のタイトルで今でも買うことが出来ます(ダヴィッド社・1500円)。
デザイン・エッセイ(日本でもこういうスタイルのデザイン本が最近多くなりました)風の読み物ですが、何気ない文章の中に鋭い洞察が隠されています。(022)
「触ってみようの実験室」
原題は「Laboratori tattili」(触覚の実験室)。
見る、ということだけでなく、触る、ということから子供がいかに沢山の、大切なことを学ぶか、ということを説きながら、ムナーリが実際におこなった子供のためのワークショップについて説明した内容です(イタリア語)。(027)
「教育としてのアート」
ブルーノ・ムナーリは子供のための造形ワークショップを各地(イタリア国内だけでなく、アメリカ、日本などでも)で行ってきましたが、イタリア中北部の町 ファエンツァではムナーリが始めたパーマネントな子供のためのワークショップがあります。ファエンツァという町は昔から陶器の産地として知られているとこ ろなので、ワークショップでは粘土を使った造形が中心だったようですが、ムナーリの死後にファエンツァで開かれた、このワークショップに関する講演会をま とめた本が今回ご紹介する「教育としてのアート(arte come didattica)」です。中にはジュネーブ大学で教鞭を執っているらしいムナーリの子息アルベルト・ムナーリ(専門は教育心理)のコメントなども出て います。(イタリア語版)(038)
「イタリア人のジェスチャー」(英語版)
イタリア人のジェスチャーが大きいことは有名ですが、ムナーリはポピュラーなボディランゲージ(おもに手を使ったジェスチャー)を集めて辞書?を作りまし た。写真は英語版で、amazonで取り扱っているようです。https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN /0811847748/qid=1131534206/sr=1-5/ref=sr_1_10_5/250-5714993-4857869 
イタリアで本屋さんに並んでいるadnkronos社版にはちゃんと日本語でも説明が書かれています。英語版は持っていないのですが、イタリア語版同様に日本語表記があるのでしょうか? ちなみに英語版の表紙の手つき(ジェスチャー)は「何が言いたいんだ?」という時などによく使います。(069)
「イタリア人のジェスチャー」(イタリア語版)
この本(「GESTI」)は実は床本(元になった本)があります。1832年に発行された「ナポリ人の身振りに関する過去の諸研究に基づくジェスチャー 集」という、当時の聖職者がプロシア(ドイツ)の皇太子に献じた本だそうです。ムナーリが編んだ本で紹介されているのは現代に生きているジェスチャーばか りですが、今も昔もイタリア人の個性は変わらない、ということでしょうか。(070)
「花に愛をこめて」
日本の生け花にインスピレーションを得たムナーリの「花で気持ちを伝えよう」という本です。高価なプレゼントがなくても、お花をアレンジして相手に対する 愛情、友情、感謝の気持ちを伝えるには...ということで、「この本には沢山の例があります。でも(あなたの気持ちを伝えるためには)例をそのまま真似し ないこと」と但し書きがあるそうです。1973年に発行された一冊です。(169)
「FOTOCRONACHE(報道写真)」
ムナーリはかなり若い頃から写真のコラージュを多用した作品やグラフィックワークを残していますが、ムナーリ自身が写真を表現の手段として活用していたよ うです。1944年に「FOTOCRONACHE(報道写真)」というタイトルの本を出版していますが、写真による表現伝達の例をいささかのアイロニーと ともに語っている本だそうです。現在はコッライーニ社から復刻版(英語版、イタリア語版)が出ています。(170)
「ファンタジア」
みすず書房からムナーリの著書「ファンタジア」が日本語版で発行されたそうです。ブルーノ・ムナーリ 「ファンタジア」萱野有美 訳 /四六判・222頁 定価2520円(本体2400円) /ISBN4-622-07209-2 C0070
「デザインと視覚コミュニケーション」(1)
ムナーリがハーバードでの思い出を語っているという「デザインと視覚コミュニケーション」ですが、1968年にLaterza社から発行されています。ど うやら現在も版を変えて発行されているようですがイタリア語版のみで日本の輸入書店でもあまり見る機会がありません。ムナーリは他にも視覚デザインや造形 教育に関する教科書的な著作を多く残していますが、これまで日本語で読むことが出来るのはダヴィッド社の「芸術としてのデザイン」くらいでした...。 (175)
「デザインと視覚コミュニケーション」(2)
みすず書房から待望のムナーリ本第二弾が2006年末に発行されました。「ファンタジア」より専門性が強い内容ですが、前半はムナーリがアメリカからイタ リアの新聞へ送ったコラム形式のエッセイ、後半にムナーリが大学で行った視覚コミュニケーションデザインの事例を紹介しています。
「デザインとヴィジュアル・コミュニケーション」ブルーノ・ムナーリ 著・萱野有美訳・四六判・384頁 定価3780円(本体3600円) ISBN4-622-07210-6 C0070 (204)
「芸術の定義」
「Teoremi sull'Arte」は、ムナーリが自らの考える「芸術のありかた」をいくつかの鋭く、短いフレーズによって語った「定義集」のような小さな本です。オリ ジナルは1961年にミラノで発行され、現在はコッライーニ社から復刻版が出ています。
テキストは英語、フランス語、イタリア語で書かれており、外国語の苦手な人でもムナーリの言葉に興味がある人だったら辞書片手に十分楽しめる一冊だと思います。(180)
「プラスチックの変容」
1991年にミラノのデザインミュージアム(トリエンナーレ)でプラスチックの再生に関する展覧会が開かれたときにムナーリが編んだブックレットです。植 物の変容=生分解を例に(画像では果物が干からびながら、中の種が芽吹いて行く様子が描かれています)とりながら、「プラスチックの『種』(再生のコア) はなにか?」と問いかけています。(184)
「東京・こどもの城のムナーリ」
ムナーリが1985年に東京青山のこどもの城でのムナーリ展のために来日し、こどものためのワークショップをおこなったことはすでにご紹介したかと思いま すが、ムナーリ自身が日本の印象やワークショップについて本を書いています。 「Il castello dei bambini a Tokyo, Einaudi Ragazzi 1995 ISBN: 887926186X」(185)
本と金槌
ムナーリは「a proposito di torroni con un martelllo」(トローネ(硬いお菓子)の問題・金槌つき)という不思議な本を1996年に出しています。なにが不思議かというと、タイトルにある「金槌」が 本当に付録についている本なのですね。どうやって書店に並べたのでしょう。(198)

「ものからものが生まれる」
原題は「Da cosa nasce cosa」。デザインに関するエッセイ集で、日本未訳。原書をぱらぱらと見てみると、「芸術としてのデザイン」や「ファンタジア」に似た構成の本ですね。(追記:みすず書房から「モノからモノが生まれる」として訳書がでました)

「アーティストとデザイナー」
同じく日本未訳の一冊です。イタリアで活躍している日本人デザイナーの細江勲夫さんのことなども文中で触れています。みすず書房より。